私が、このタイトルで記事を書こうとした、その事の発端は「基礎の型枠固定に使っていた金具」でした。
話は非常に長くなりますが、
1年ほど前、お隣の家と土地を地元のY不動産が購入しました。
その後、家は解体され、土地は売りに出されることになりました。
解体前、Y不動産の社長が説明に来られました。
隣家は角地で、我が家はその左隣、そして隣家と我が家の裏手にはAさんの家が建っています。
Y不動産の社長からの一方的な説明だけでは、必ず後々に
「あれを聞いておけばよかった」
「これについては話を詰めておくべきだった」
というようなことが起こりかねないので、
私なりにネットで検索しながら
4つほど質問(お願い事、約束ごとなど)を用意しました。
その質問とは
(1)解体で自宅に損害があった場合の補償について
(2)隣家は越境して建てられていたので、境界線までの床部分はどのように対応してもらえるのか
(3)解体後の土地には周りを柵を張り巡らせて、人等が入られないようにしておいてほしい
(4)我が家と隣家、そしてAさん宅の間には1mぐらいの幅の通路があり、この通路を伝っていけば、我が家の左隣(解体する隣家は右隣)以降何軒かの裏手に通じていて、防犯上非常に問題となるので、通路の入り口をふさいでおいてほしい
こんな感じで用意をしていました。
この質問に対してY不動産の社長の回答は、
(1)解体で自宅に損害があった場合の補償について
⇒保険には入っているので、それできっちりと補償する
(2)境界線までの床部分は
⇒隣家と我が家の間はコンクリートで埋める、無償で
(3)解体後の土地の周り
⇒柵は立てる
(4)通路の入り口
⇒工事現場で使われているバリケードフェンスなどを立てかける
(2)については、わかりにくいと思いますので、簡単に図に示しました。
さて、3月ごろに解体工事が始まりました。
お隣の家は昭和9年に建てられていて、
その当時なので木造建築だったようですが、
その後も増築されていたようです。
解体業者さんの話によると、
その増築部分は鉄筋とコンクリートが入り混じった造り(恐らくRC構造)なので、
解体に大型重機が必要だということでした。
実際、解体時には、それはそれは驚くほど大きな音と振動がするときもありました。
さてさて、やっと家の解体が終わり、足場や養生シートが外されたので見てみると、
「あれ? 何かおかしくない?」
私が「何か変だ」と思ったのは、
我が家と隣家の間は、猫ちゃんが通れるほどの隙間(図1の青色の部分)のようなものが一応は通路として存在していたのです。もちろん、この通路は我が家の敷地内です。
しかし、解体後はそれが忽然と姿を消してしまっていたのです・・・。
「なぜ?」と思いながらも、工事が終わってしまったので、どうのこうのと言うこともできず、
「隣に家が建った時に埋めてもらうしかない」
という考えで、一応は自分を納得させていました。
さて、解体が終ったのが3月の下旬。
Y不動産の社長にお願いしていた件についてはどうだったかというと、
(1)解体で自宅に損害があった場合の補償について
⇒建物に傷はつくことなく、問題なく終了
(2)境界線までの床部分について
⇒一部分が破壊されたのですが、隣に家が建つときに解決するしかなさそうなので今は保留
(3)解体後の土地の周りについて
⇒なかなか柵をしてもらえず、再三、Y不動産に依頼。
やっとのこと柵を取り付けてくれたのですが、道路に面した三つの角に金属棒を差し込み、
それに”工事現場ロープ”を1本張っただけ。
その金属棒には不動産屋の旗を付けてました。
これだと、容易に人が立ち入ることができてしまいますが、
とりあえず柵らしきものができあがっているので、ここはそれ以上言う事ができず、
そのまま。
(4)通路の入り口について
⇒工事現場で使われているバリケードフェンスが簡易に立てかけられていましたが、
風が吹けばゆらゆらと揺れたり、酷ければ倒れてしまいそうな状態。
さて、解体後1,2か月はまだ良かったのですが、6月に入るころから、何やら隣が賑やかに・・・。
そう、気温の上昇とともに、草花がぐんぐん成長して、半月もたたないうちに土は見えなくなり、昆虫たちの楽園ができあがったのです。
そこで、Y不動産屋に除草を依頼。
しかし、なかなか除草をしてくれません。その後も何度も依頼の電話を掛けましたが、
「近々します」と言う返事だけで、なかなか動いてくれません。
見る見るうちに、背丈50㎝ほどの草で埋め尽くされ、その中には直径2㎝ほどの木になりかけのような植物も生えてきました。
居ても立っても居られない状態になり、我が家の敷地1m幅ぐらいの草抜きをして除草剤を撒きました。
我が家は前年度に右側の面(今回解体した隣家側の面)以外の3面の外壁塗装をしていたのですが、隣家が解体されたので、残った1面の外壁塗装をすることに。
10月に塗装を始めるや否や、お隣の土地から蜂がぶんぶんと飛び回ってきたのです。その数20匹以上。見た感じ”フタモンスズメバチ”。何やら危なそうなので、再度Y不動産屋に駆除を依頼。でも、動いてもらえず、今度は行政に依頼。しかし、行政側が動いてくれるのは法律あってのこと。なので、動いてもらえず。
塗装業者の方にはくれぐれも気を付けて作業をしていただくほかありませんでした。
その後、外壁塗装も無事終了したのですが、
やはり、懸念していたことが起こりました。
あまりにも簡易に立てたバリケードフェンスは冬の木枯らし等で、塗装間もない我が家の外壁にコツコツと当たったようで、4か所ほど塗装が削れてしまいました。
年が明けて。
お隣はまだ動く気配がありません。
しかし、Y不動産屋の旗が外されているので・・・「売れたらしい」。
そんな中、2月後半のある日、お隣で作業をしている人が。
お聞きしてみると、明日、地鎮祭が執り行われるとのこと。
「やっぱり売れてたのね。いよいよ建つのね。」
翌日の地鎮祭の後、施主さんと工務店の方がご挨拶に来られました。
とても感じのいい方で、ほっと。
その後、すぐに工事が始まりました。
私は建築に関しては素人なので、ただ単に外に出たときには「こんな風に家が建つのね」と見るぐらいでした。
やっと、本題が近づいてきました・・・
基礎工事が始まって、お隣の土地の形に添って、長方形の溝がぐるりと1周掘られていました。
調べたところによと、根切り(建物を建てる一番低い位置まで、重機を使って掘り返すこと)と言うそうです。
数日後、その部分にコンクリートみたいなものが流し込まれました。
コンクリートのようなものが流し込まれた3日後の朝、ごみを出しに外に出たとき、ちらっとお隣に目をやると、
「なぬっ?」「なぬっ?なぬっ?」
流し込んだコンクリートが基礎の形状を保つように、掘られた溝に沿って鉄板のようなもの(専門的に表現すると、「基礎の外周にコンクリートを流す為の型枠」)が入れられていたのですが、その鉄板のような型枠が地面に対して垂直になるよう固定するために、金属製の突っ張り棒のようなものが使われていました。
その金属製の突っ張り棒の一端が、我が家の家の基礎部分に10本以上当てられていたのです。
「え!、え!、、どういうこと?????」
家に入って、基礎工事の画像を検索しましたが、今、目の前で見た光景と同様の写真は見つかりません。
そうしているうちに、隣からカチャカチャと音が聞こえたので、再び外に出てみると、
先ほど取り付けられていた金属製の突っ張り棒はすべて外されていました。
工事関係者の方がいらっしゃったので、
「ちょっとすみません。
うちの家の土台部分に当てていたものは何ですか?」
「・・・・・・・」
そこからは、「携帯で今からのやり取りを録音させていただきます」と相手の方に伝え、録音しながら話をしました。
話をお聞きしてみると、
基礎工事で型枠を固定するときに、
周りに型枠を固定するための支えのようなものがないときには、無いなりに土を掘った部分にできた土壁を使う方法もありますが、
基本的には、支えになりそうなものを探して使うとのことでした。
つまり、普段から使えるものがあれば使うというスタイルで作業をしているということでした。
ただし、その支えが他人の家のもの(例えば塀とか)であれば、その支えの持ち主に声をかけるとのことでした。
では、なぜ今回は声を掛けなかったのかと聞いてみると、
「独断でしました」とのこと。
「それはないわ~」
『たった数日のことだし、支えにしたところで家が傾くほどの力を与えたわけではないから、少しぐらいいいじゃない』との考えはいただけません。『素人にはわからないからちょっとぐらいいいでしょ』の考えもいただけません。
「私のこの腹立ちをどう抑えてくれますか?」
作業をしていた方の名刺と責任者の名前と住所、電話番号を聞いて、一旦は家に戻りました。
そこからです。
ネットを使って、「隣家の新築工事、トラブル」などのキーワードを打ちながら、どんなトラブルが起こる可能性があるのかを調べました。
隣家の地鎮祭から今まではとてものんきに過ごしていましたが、
調べれば調べるほどに、考えも及ばなかったトラブルが起こっていることが分かりました。
例えば、
・作業員の方が敷地内に入って作業をしている
・休日や夜遅くまで作業をしている
・作業で出たごみや土が家の前などに散乱している
・自分の家の上空をクレーンを使って資材搬入している
・隣家の窓の位置が我が家の窓の位置と近く(重なっている)、目線が合う など
今回の件に関しては、我が家の土台部分に金属製の突っ張り棒が当てられてから3日後に私は気付いています。その日の朝、ごみを捨てるために外に出たとき、偶然その金属製の突っ張り棒を発見したのですが、ごみを捨てるタイミングが30分ほどずれていれば、私はそれらに気付きませんでした。
どう考えても、今回の業者さんの作業のしかたはお行儀が悪いです。
それが、普段からされている(普段は声をかけているようですが)ということは、今後も素人にはわからないお行儀の悪さが出てくるかもしれません。
お隣に引っ越して来られる方とは、今後長いお付き合いになるので、良い関係を築いていきたいと思っているのに、工事関係者が原因でお隣との関係が良くない状態からスタートするのはまっぴらごめんです。
今回の隣家のことで、何が問題なのかを洗い出してみました。
【工務店に対して】
・今後の作業においても、今回同様のお行儀の悪さが出るのではないかと思うと不信感しかない。この不信感を取り除くには、ある一定のルールが必要では
【工務店とY不動産屋に対して】
・解体では壊されてしまったコンクリート部分(「境界モルタル犬走」と言うそうです)の補修はしてもらえるのか
【Y不動産屋に対して】
・バリケードフェンスにより傷ついた外壁塗装の補修はしてもらえるのか
以上のことについて、何かアドバイスをいただけるところはないかと探し始めました。
まずは、地元の行政の「総合コールセンター」に電話をしてみました。
総合コールセンターでは
総合コールセンターでは、今回の件について話したのち、建築についての専門的なお話が聞けるところを教えてもらえました。
(1)「住まいの情報センター」
(2)「住まいのダイヤル」
(3)「建築士会」
住まいの情報センター
「住まいの情報センター」に電話をしてみると、
①対面もしくは電話にて、30分以内で無料相談ができます。
相談日:日曜日の12時半から
相談時間:1人30分以内
注意事項:相談は先着順ではなく、くじ引きで決めますとのこと
②家の損傷について現地調査は有料で依頼することができます(要予約)。
(例)35000円/3時間
58000円/1日
ということを教えていただきました。
そこで、実際に①の無料相談を受けてみようと思い、早速「住まいの情報センター」に行きました。
住まいの情報センターで教えていただいたこと
(1)工務店の今回の行為に関して・・・・・住宅建築局建築指導室
行政には、「住宅建築局建築指導室」という部署があり、
その部署では、
「建築行為・開発行為及び宅地造成行為の取り締まり及び指導に関すること」
「違反行為者に対する法的処分に関すること」
の監察を行っているとのこと。
なので、「あまりにひどい行為が見られるときには、この部署に相談してみてください」と教わりました。
(2)Y不動産屋さんの行為に関して
不動産屋とのやり取りは民事のことで、それを規制するような法律が存在しないため、行政が直接関わることができません。民事のことなので、まずは話し合いになりますが、話し合いで折り合えない時には弁護士さんを付けての話し合いになってきます。ただし、弁護士費用なども掛かるので、なかなかの大事でない限り、弁護士さんを付けてというところまではしにくいのが現状であるならば、
訴訟ではなく、話し合いによってトラブルを解決できるところがある、と教わりました。
地域によっては公益社団法人が行っているところもありますが、
「政府広告オンライン」でも紹介されています。
「政府広告オンライン」はこちら
(3)今後の工事をトラブルなく進めるために
次のようなアドバイスをいただきました。
まずは、工務店が今回のことについてどのように考えているか聞く必要があります。
そして、今後の工事に関してのルールを話し合い、その議事録にサインをしたものを作成してもらいましょう。
今後の工事について、ルールを逸脱する行為が見られたときには、「住宅建築局建築指導室」に連絡します
というところまで話を詰めておかれるといいと思います。
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
『住まいのダイヤル』(国土交通大臣認定)
「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター 『住まいのダイヤル』(国土交通大臣認定
電話:0570-016-100(03-3556-5147)
時間:10:00~17:00 土日祝、年末年始を除く)
ここでは、30分以内の電話による無料相談ができます。
そこで、「住まいのダイヤル」に電話をかけてみました。
住まいのダイヤルで教えていただいたこと
まずは工務店と話し合いをしてください。
・金属製の突っ張り棒については、
工務店の話を聞いてみてください
・境界線については、
工務店が「前の家との境界線の覚書」について、Y不動産屋から聞いているかどうかの確認をし、その上で、今後の作業についてどのような取り決めになっているかを確認してください。
・壁の補修については、
まずは工務店に経緯を説明し、工務店側が動いてくれるのか、Y不動産との話し合いになるのかを明確にしてください。
・今後の工事については、
工務店側と話し合いをして、ある程度のルールを決めてください。
上記の話し合いを進める中で、Y不動産屋との話し合いをしなければならないことが出てきた場合には、
Y不動産屋に連絡をしてください。
ただし、Y不動産屋の今までの対応から考えて、口頭で連絡をしても進展が見られない可能性が考えられるので、その時には、
期限を2週間程度に設定して、『書面で回答をしてください』という旨を盛り込んだ書類を送ってみてください。特に効果が大きいのは【内容証明】です。
以上のように、アドバイスをいただきました。
その他
「住まいの情報センター」「住まいのダイヤル」以外にも
・「建築士会」
・「国民生活センター(消費者ホットライン)」
電話:03-3446-1623
時間:10:00~12:00、13:00~16:00)
を教えていただきました。
今回は「住まいの情報センター」と「住まいのダイヤル」でいろいろと情報をいただき、私なりに解決の糸口が見えてきましたので、「建築士会」と「国民生活センター」は利用しませんでした。
まとめ
隣家の新築工事に関しては、まったく初めてでしたので何も気に留めずにいましたが、調べるほどにいろいろとトラブルが起きやすいことが分かりました。
実際に、頂いたアドバイスを参考に工務店と話をし、
今後の工事について取り決めたことについては「念書」を作成していただきました。
Y不動産屋の管轄になるだろう「壁の傷」については、工務店がY不動産屋に話をして、補修します、ということになりました。
工事着工前に取り決めをしていれば防げることもありますので、ぜひやってみてほしいと思います。
この記事が、参考になれば幸いです。
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